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ART

2025年6月21日

こころ×デザイン×教育
〜心のフィット感を創るチカラを育むWS

OCHABI主催のデザイン教育シンポジウム。第8回目は、心のリテラシーを高め “ 心のフィット感 ”に気づく感性を磨き、自分の心を大切に生きるチカラ・心豊かに創造性をひらくこと」をテーマに、ワークショップ形式でお届けします。

T.B

8回⽬の開催となるデザイン教育シンポジウム#7。


今回は、株式会社HUMANROOTS代表、公認心理師・救急救命士の⽉ヶ瀬 和利さんをゲストに招いて⾏われました。


★月ヶ瀬さんのProfileはこちらのページもご覧ください。

https://www.ochabi-institute.org/design-education-symposium-7


会場はOCHABI 1Fギャラリー。


司会進⾏の岩崎コーチが開会のあいさつをすると、突然、消防のサイレンが鳴り響きました。


「え?なになに?」参加者の皆さんは当然、そのような反応。


やがて会場⼊り⼝から、消防服姿で颯爽と⽉ヶ瀬さんが登場。


果たして今⽇は⼀体、何が起こるのでしょうか・・・。



消防⼠&救命⼠であり、⼼理学者


⽉ヶ瀬さん、消防⼠のコスプレをしている??いえ、そうではありません。



⽉ヶ瀬さんはかつて消防⼠と救急救命⼠をやられており、極限状態の現場に幾度も出動されたご経験を持つ強者なんです。


開始早々のインパクトで参加者の皆さんは驚かれていた様⼦でしたが、優しそうな⽉ヶ瀬さんの笑顔で会場はとても和やかな雰囲気になりました。


このような⽅が災害現場に現れると、なんだかとても安⼼出来そう・・・!


最⾼の教材を提供する

続いて、お馴染みOCHABI Institute研究員の服部亮(以下Ryo)が⼊場。



参加者の皆さんに挨拶をし、⾃⼰紹介をすると、「最⾼の教材を提供いたします!」と、毎回シンポジウムで伝えるメッセージを参加者の皆さんに送りました。


⽉ヶ瀬さんを指差し、「はい!最⾼の教材!」と⾔います。


消防服とヘルメットを⾝に付けられた⽉ヶ瀬さんが、少々照れくさそうに頭を下げました。


⼼の“フィット”感

さて今回のシンポジウム。


こころ×DESIGN×教育」ということがコンセプトとなっております。


「⼼」がアートに深く関わってくる会です。


そこで、⼼理学者の⽉ヶ瀬さんが今回の「最⾼の教材」として呼ばれたわけです。


研究員のRyoが、ホワイトボードに会場の皆さんに伝えたいキーワードを⼤きく書きました。


⼼の“フィット”感」です。



そしていきなりクイズがスタート!!


「クイズ!どれが⼀番フィットしているでしょう?」


Ryoがテーブルに⽤意されたキャップを被ります。



⼦ども⽤サイズのようで、⼩さくて全然被れません。


頭にちょこんと乗っかっているだけ。


⽉ヶ瀬さんが指差し、「これ、フィットしてますか?」と会場の皆さんに問いかけます。


もちろん、「してなーい!」という反応。


「はい、正解!」



次に、⼤⼈⽤の⽩いキャップを被るRyo。


被ることは出来ているが、どうにも似合っていない印象。



また⽉ヶ瀬さんが問います。「これはフィットしてる?」


またしても会場は「してなーい!」という答え。


続いてRyoはベージュの中折れ帽を被ります。



今⽇着ている服と似たような⾊で、しっかりと帽⼦が馴染んでいる。


「これはフィットしてる?」と問いかけると、今度は会場から⼤きな拍⼿。


⾒事にフィットしていたようです。


これは、Ryo⾃⾝の持ち物の帽⼦です。当然、フィットしますよね。


さてこの帽⼦。


果たして、何がフィットしているのか?具体的な“フィット”感を参加者の⽅に聞いてみます。


「ピッタリしてるから」という回答をもらいました。


そこでRyoが⾔いました。


「はい!今⽇、ツッキーは“⼼がピッタリすること”をみんなに教えてくれます」


続いて⽉ヶ瀬さんが会場に問いかけます。


「私、ツッキーは、何をしている⼈?」


1⼈のお⼦さんが「消防⼠さんのマネをしてる⼈!」と答えました。


これには会場が⼤爆笑!




⾒えない「⼼」をどうフィットさせるか


⽉ヶ瀬さんが語ります。


「帽⼦は⽬に⾒えるものだけど、⼼は⾒えません。


では、⼼の中の⾒えないところをどうやって感じ取っていくのか。それを今⽇は皆さんと⼀緒に勉強していきます」



Ryoが⾃分の服装と、ギャラリーに置かれている数々のものについて語ります。


「⽯膏像などがたくさん置いてあるデザインアートスクール。そして絵の具がたくさん付いているツナギ。今⽇は何かを作りそうだね!」


続けて、


「今⽇は何かを作るんだろうけど、その前に何かに気付く、何かを感じる、というようなことをツッキーに話してもらいましょう」


と⾔いました。


そう、会場には⽔粘⼟がたくさん置いてあります。


量が量だけに隠しようもないので、ネタバレ前提で準備された粘⼟です。笑


⽉ヶ瀬さんは「ヒーロー」

前述でも触れましたが⽉ヶ瀬さんは、かつて消防⼠として災害現場に駆けつけて消化活動をしたり、救急救命⼠として⼈の命を救う仕事をされてきました。


消防⾞と救急⾞に乗った「ヒーロー」だったわけです。


幼少時代、「ヒーロー」に憧れていたという⽉ヶ瀬さん。


⾃分も⼈を助ける「ヒーロー」になるんだ!という思いで、消防⼠、救命⼠のお仕事をされるようになった、とのこと。


いやー、なりたいからって簡単になれる職業ではありません。


実現された⽉ヶ瀬さん、すごい!やっぱり「ヒーロー」です!


ワクワクすること。ドキドキすること。


なりたかった「ヒーロー」になれた⽉ヶ瀬さんは、仕事をしている時にいつも“ワクワク”する時があった、と語ります。


⾃⾝がやっていることが⾯⽩くて、誇らしくて、いわば“⼼にフィットする”仕事が出来ていたということです。



しかし、現実はとても厳しいものでした。


災害現場に向かう消防⾞や救急⾞に乗っている3分間ほどの間は、何台も連なる消防⾞を通⾏⼈がみんな⾒ている。


周りに同じ気持ちの仲間がたくさんいる。


ヒーローになった気分でワクワクしてくる。



やがて現場の煙や炎が⾒えてくると、災害現場が近づいてなんだかドキドキしてくる。


そして現場に着くと⼤変なことになっていて、緊張してゾワゾワしてくる。


現場に向かう2、3分の間に、⾃分の気持ちがぐるぐると変化した、とおっしゃいます。



⼈は⽣きている間、⾃分のやっていることが常に⾯⽩い、楽しいわけではなく、気分が乗らない時もある。


1週間、1ヶ⽉、半年、1年の間に必ず変化していきます。


⽉ヶ瀬さんが救命⼠時代を振り返ります。


多い時には1⽇に16件の出動があったそうです。


1回の出動で要する時間は平均1.5時間。


眠くても寝られず、⾷べたくても⾷べられない状態になります。



中には、⾃分で病院に⾏けるような⼈も119番通報してくることも多くて、


「これはわざわざヒーローになって出ていく必要なかったんじゃないか?」


と思ってしまうこともあったと。


そんな時は「はぁーーー・・・」とため息が出てしまいます。


本当に命が危ない⼈を助けるために出動した後に、


「⻭が痛い。⾬も降ってるから、救急⾞で⻭医者に連れて⾏ってよ」という⼈に呼ばれたりする。


これは酷い!


そんな1⽇の間に、⽬まぐるしく気持ちがグルグルと変化してしまう。


そうするとやはり、とても疲れきってしまいました。


そうなると、楽しいはずのことも楽しくなくなってしまっていた、と。



「きっかけ」を忘れないように

そうなってしまった時、⾃分が「ヒーローになりたいな」と思ったきっかけを思い出すようにしているとのことでした。


⽉ヶ瀬さんは幼い頃、重い⽕傷を負ったことがあり、その時に⾊々な⼈に助けられてとても嬉しかった、ということを思い出されるそうです。


そうすると⾃分の⼼の中に「ちゃんとやらなきゃ!」という気持ちが湧くということです。



そして、とある現場で起きた素晴らしい出来事も思い出されるとのこと。


空港で⼼臓が⽌まってしまった⼈を助けるために出動された⽉ヶ瀬さん。


空港は広くて、なかなか現場に辿り着けない。


ようやく現着した時、CAさんが髪を乱し、なりふり構わず懸命に⼼臓マッサージをされていたそうです。


そのCAさんが救命措置をしてくれていたおかげで、⼼停⽌した⼈は⼀命を取り留めたそうです。


その時のCAさんの⾏動を思い出して、「ああ、⾃分はダラダラしてたな。しっかりしなきゃ!」と⾝を引き締められるそうです。


気持ちが落ち込んでいる時、やる気が萎えてしまっている時に、そのように「ヒーローになろう!」と思ったきっかけ、原点を思い出されるとのこと。


なるほど!原点に⽴ち返ることって、時に重要ですよね。




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