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Circular Economy

2025年6月18日

「見立てる・またぐ・にじむ」〜より豊かな環境を目指して

環境再生と教育を通じて持続可能な社会づくりに取り組むリーダー瀬戸昌宣氏と「環境×ART×教育」をテーマにワークショップ形式で対談します。自然環境を見立てたフィールドワークで、全ての生き物が心地よい暮らしができる環境デザインを学びます。

T.B

自然を「見立て」たフィールドワークで、下流から上流まで歩きながら、今度は山の頂上へ。




子ども達も山の頂上に見立てた脚立から、今まで歩いてきた地形を眺めてみます。



高い山の頂上からは全て見えそうだけど、実は足元に近い部分は見えづらい。


地面のレベルできちんと物事を見ることと、俯瞰して見ること。


どちらの視点も大切です!



魅⼒的だと感じた場所を描く

⼤きめの⽊枠が、⼦どもたちに配られました。


それを持った⼦どもたちに、好きな場所へ⾏ってもらいます。



「どんな⾵景が⾒たいですか?」「どんな⾵景が好きですか?」「どういう環境で⾃分は⽣きていたいですか?」という問いかけをしつつ、


「⾃分だったら、ここに住みたいな」と思う場所を探してもらいます。



⾃分が「ここが良い!」と決めた場所に椅⼦を置き、⽊枠越しに景⾊⾒てもらいます。


そして⾒えた場所を、⾃然の景⾊に「⾒たてて」デッサンをしてもらいます。


⼦どもたちが、どういう「⾒たて」で描くのかを⾒ていきます。


⼦どもたちの好きな場所は、それぞれ違っていた


みんなが決めた位置に留まった状況を遠⽬で⾒てみると、とても広範囲に散らばっていました。


「好き」というのは、本当に⼈それぞれなんだということを改めて認識できた感じです。


デッサンをする⼦どもたちは、黙々と夢中で、⾃分が「見立てた」景⾊を描いています。


さすが、アートの意識がみんな⾼いし、集中⼒もすごい。


やがて会場に⼤⾬の⾳が流れます。


瀬⼾さんが思わず⼝にします。


「これ⼤丈夫かなー?流されちゃうんじゃない?」


照明も落ちて、暗くなってきました。ますます激しくなる⾬⾳。


ここで裏⽅のコーチたちが動きます。川幅をどんどん広げていきました。


「見立てる」には、そんなリアリティも⼤事。


リアリティの演出は続きます。だんだん⾬⾳が弱まり、明るくなってくる。


すると、⼭の⽅から太陽が顔を出しました。⼀気に明るさが増します。



照明を⼿にした筆者がここは頑張りました。


しかしそんな環境の変化をものともせず、⼦どもたちは描き続けます。塗り続けます。


本当に「夢中」ってすごい!


まるでリアルな環境下で描いた絵

⼦どもたちが描いた絵を、時間の許す限り、瀬⼾さんが⾒て解説し、作者にインタビューしました。

「川の流れを描きたかった。布の川だけど本物の川を想像した」

「⽔の中の⿂を、⿃が狙っているところを描いた」

「夏の⾃然を想像して描いた」などなど・・・。



皆さん、まさに「見立て」て描いたわけです。


⼦どもの視点、感性は偉⼤です。「そこを⾒てたの?」という意外性、「そう表現したの?」という驚きがたくさんありました。


上⼿、下⼿ではない。どういう「⾒たて」を⾏なったのか。


どこからどこを「またいで」描いたのか。そこが何より⼤事です。


視野・視座・視点の幅をいかに広げて描いたのか、ですね。



不安定な環境について

⾃然環境を「⾒たてた」今回のシンポジウム。


「⾒たて」の⼀つに⼤きな⽳がありました。真っ⿊の布を深い⽳に「⾒たてた」のです。



後半になって、瀬⼾さんがその⽳について語ります。


岩を⽳のそばにいくつか持ってきて、溢れた川の⽔が⽳に⼊る川を作りました。


⼈の⼿によってつくられた、洪⽔を防ぐための川ですね。



「⼤⾬が降って、川が溢れた時にだけ川になる場所があります。そこは不安定な環境です。その不安定な場所は、⽣き物が好む場所、いちばん多くの種類の⽣き物がいる場所なんです」


多くの⽣き物が住むことを許されている環境がつくられて、プラス、洪⽔が起きないためにこの⽳が活かされる。

いい環境を作ることは、そういう発想が重要なんです、と。


「⾃然に遊んでもらう」には、そういう考えで⼈と⾃然が共存していかなければならない。


そういう訴えが、⼦どもたちにも⼤⼈たちにもしっかりと伝わる説明でした。



「混ざる」ではなく「にじむ」こと


終盤に、⾃然環境と⼈間関係が酷似していることも、わかりやすく伝えていただきました。


⾃然環境では、⼭、川、岩、動物たちそれぞれが、ありたい姿で存在している。


それを⼈は守っていかなければならない。それは⼈と⼈の関係にも似ています。



私とあなた、違う者同⼠を混ぜて⼀緒くたにするのではなく、私とあなたが、ありたい姿のままどうにじんでいくと、この環境がより豊かなものになるか。


⾜し算じゃなく、どう掛け算していくか、という考えで、⼼地よい距離感を保ちつつ、いい環境をつくり上げていくか、が重要。


このお話は、⼦どもたちも熱⼼に聞き⼊っておりました。



デザイン教育シンポジウム#6は、⾃然環境についてたくさん学びながら、アートをどういう考えで捉えていくかをより深く理解する機会となりました。


⾃然環境を「⾒たて」た会場づくりは、なかなか⼤変なものでしたが、コーチの皆さん、終始笑顔で楽しく準備を進めておりました。


⼭の準備、川の準備、岩の準備、動物の準備・・・⼀⼈ひとりが⾊々なものを「またいで」準備を進めた結果、とてもアーティスティックで壮⼤な⾃然環境が出来上がったのでした。



楽しく学べる教育イベントをデザインしていただいた瀬⼾昌宣さん。


ありがとうございました!



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