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Design

2025年6月15日

プロダクトデザインの実践WS
〜人が思わずやってしまうことをカタチにする

OCHABI主催のデザイン教育シンポジウム。第6回目のゲスト深澤直人さんと共に、プロダクトデザインを実践。子ども達に分かりやすく、アフォーダンスとデザインの根本的な考え方やご自身の経験から大切なことを伝えてくれました。

T.B

「⽔を飲むもの」を考えるワークショップ


たくさんの事例と共に深澤さんがお話ししてくださったことで、


「アフォーダンス〜人が思わずやってしまうこと」をデザインの根本にしてカタチ化するという


大人にとっても難しいプロダクトデザインの考え方を、感覚的に子ども達も解ってきたようです。


そして、楽しみにしていたワークショップの時間がやってまいりました。


「⽔を飲むものを考えましょう」という課題。


ここでのポイントは、⽔の飲み⽅も⾊々なので、単純に「コップの形を作る」という簡単な発想に留まらず、⽔を飲む⾏為を多⾓的に認識している必要ががある、ということ。



「⽔を振って飲む」「違う容器で飲む」「形状を変える」といった多様な可能性を探ることが重要だと説きます。


綺麗な⽔の川が流れている。そこの⽔をどうやって飲むか。


材料は会場に⽤意された紙。それをどう⼯夫して⽔を飲めるようにするのか。


深澤さんは「正解はない」ということを強調。


形状的なデザインも含めて、単純な発想にこだわらず幅広いアイデアを期待し、スタート。


待ってました!とばかりに、会場の皆さんは作り始めます。


作ることが好きな⼈ばかりが集まった会場です。それはもう楽しそう!!





さまざまな飲み⼝のデザインが揃う!


参加者の皆さんが作った飲み⼝の形状は多様で、「ストロー系」や「くしゃくしゃにした紙を丸めて飲みやすくしたもの」「蛇腹の構造」などなど、多⽅向からのアプローチが⾒られました。


「蛇腹の構造」は伸縮性の性質を⽣かし、⽔を飲む位置や量の調整など多機能を狙っているものでした。


さらに、ある参加者は⾚ちゃん⽤の⽔飲み具を制作しており、噛んだり少しずつ飲めるような⼯夫がなされていました。これらは単なる⽔分補給というより、

飲みやすさに重点を置いたデザインであり、問題解決の広い視点が感じられました。


⼦どもたちは積極的に制作し、独⾃の視点で⾊々な⽔飲み道具の制作し、発表をいたしました。




あるお⼦さんは、⽔がこぼれないように⼯夫し取っ⼿のについた容器を作っておりました。



参加者の間でコミュニケーションや笑いもあり、和やかな雰囲気の中でワークショップは進⾏しました。


そしてワークショップで作られた作品のプレゼンテーションが⾏われ、作品の特徴や⼯夫点を共有いたしました。


蛇⼝のようなデザインの作品や、⼤⼈が提案するミニマルだが実⽤的な形状など、多様なアイデアの発表があり、この場での学びと成⻑を感じるひとときとなりました。


参加者同⼠が賞賛や感想を交わし、深澤さんと共に改善点を探ることで次回以降の創造活動に繋げることも強調されました。




プレゼンテーションを受けて、深澤さんはおっしゃいました。


アイデアをスケッチするだけでなく、瞬時に形にしてみること=ラピッドプロトタイピングが重要であると。


このプロセスは、⼈間の進化における試練や⾃然環境への適応プロセスと類似性があり、技術やデザインが理論だけでなく実践で磨かれていく重要なプロセスであることが分かりました。


深澤さんは、皆さんの作品を評価された後、必ず「よく出来ました!」とおっしゃっていました。


嬉しいお⾔葉ですね。とても場が和みました。


デザインの仕事とは、どういうものか?


ワークショップで盛り上がった後、終盤になると、深澤さんからデザイナーを⽬指す⼦どもたちへ、メッセージを語っていただきました。


アイディアとは、⾃分が持つ経験の中から出てくる。


ただし、⾃分だけが経験したものを出しても、他の⼈には分かりません。


まず⾃分を知る。


⾃分を知って、⼈間を知る。


⼈間の機能を知る。そういうことによってデザインは⽣まれます。



だから、⼈が「思わずしてしまうこと」というのがすごく重要。


ほとんどの⼈が「思わず」に⽣きています。


「思わずしてしまうこと」が⼀番の正解なのです。


デザインには、グラフィックデザイン、プロダクトデザインなど、⾊々ありますが、全ては毎⽇の⽣活の中にあります。


未来を考える仕事に就きたい⼈はたくさんいるでしょう。


AIの開発とかプログラミングとかは、誰かが考えた技術に乗っかってそれを成⻑させる仕事。



しかしデザイナーは、毎⽇、⽇々の⽣活をどうすれば豊かに出来るのか?ということを考えながらデザインをしています。


⾃分がいい物を作ったら、それを誰かが喜ぶ。


喜んで幸せになる。それが⾃分に返ってきて、⾃分も幸せになる。


デザイナーがやることは、不幸をつくらないから、楽しいことしか⽣まないから、とても有意義なんです。


だから、デザイナーを⽬指す⼈は、それを⼀⽣懸命やってください。



「思わずしてしまうこと」という⾔葉を知ったことで、これから世界の⾒え⽅が変わるでしょう。


素晴らしい⾔葉で締めくくっていただきました。


筆者もデザイナーですので、リアルにとても⼼に響きました。


深澤直⼈さん、ありがとうございました!




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